東京高等裁判所 昭和25年(う)3712号 判決
被告人両名の弁護人の控訴理由は、末尾に添附する控訴趣意書と題する書面に記載するとおりであるが、論旨第一点において指摘する昭和二十五年八月三日附検察官世羅三郞作成にかかる被告人斉藤彊正の供述調書が作成者の名下に押印なく又毎葉に契印なく刑事訴訟規則第五十八条に違背することはまことに所論のごとくである。
けれども、そのことの故を以て該調書を直ちに無効なりとする所論に至つては根拠なき独自の見解たるにすぎない。従つてかかる所論は、とうてい首肯することができない。況んや、原審が該調書につき取り調べをした点を捉えて法令の違反なりとする主張に至つては、固より採用すべき筋合ではない。そこで論旨第一点はおのずから理由がない。